「STORIES FROM THE CITY,STORIES FROM THE SEA」P | 君、ちょっとCD棚の整理を手伝ってくれないか。(仮)

君、ちょっとCD棚の整理を手伝ってくれないか。(仮)

中学から買い始めたCDがあまりに増え、自分で何を持ってるか把握出来なくなってきた。そのため同じCDを2枚買うという事件を産むこととなる(4回)。

この悲劇を五度繰り返さぬよう一枚一枚確認していこうという、

ブログにするほどでもない内容のブログなのだ。

storiesfromthecity

アジャコング、ブタゴリラ、ギガス
ゴーロン星人、藤田和之……、

一口にゴリラと言っても世の中には様々なゴリラが存在する。
そして、その殆どがメインではなく脇に甘んじている。

しかし半世紀以上前、ゴリラにスポットを当てた映画があった。
それが「キングコング」。
言わずもがな、前回のブログで感想を書いた
ピーター・ジャクソン版「キングコング」のオリジナルだ。

今、本屋へ行くと、
古き良き名作映画のDVDがズラリと並んでいる。
それらは全て500円で購入出来る。
先日急病で天国の後門を覗いた水野晴郎の笑顔が目印。

33年版「キングコング」はそのラインナップに入っていた。
今回PJ版を観るために予習をするために買ったのだ。

しかし、オリジナルを観てしまえば、
どうしても較べてしまい、
純粋に映画として楽しめなくなったり、
真っ当に評価出来なかったりするかもしれない。

そう思い、このDVDはPJ版観賞後に観る事にした。
そして、それをさっき観終えた。

以下にはその33年版とPJ版の比較や相違点について書くので、
この何れかをまだ観ておらず、
且つこれから観たいと思ってる人は、
草食のはずのブロントザウルスに喰われてて下さい。


いや、面白い。
小さな頃のPJが心奪われたのも理解出来る。
そして、今回のリメイクが如何にオリジナルへの
リスペクトが込められていたかがよく分かる。

相違点は数多くあるが、
特に違う点は、
・PJ版ではドリスコルは作家だが、
 33年版では航海士。
 PJ版の作家、船長、俳優の要素を全部含めている。
・アン・ダロウは最後までコングに愛情を見せる事はない。
といった所か。

前回のブログで、最後の台詞に対する疑問を書いたのだが、
実はこの台詞、オリジナルと全く一緒であった。
33年版ではアンは全くコングに惹かれない。
つまり、コングの一方的な片思いで終わる。
この設定であれば、
「美女が野獣を殺した」
という台詞はすんまりはまる。

また、残虐描写で言えば33年版の方がきつい。
人をぐりぐり踏み付けたりする。
PJ版コングがあくまで必然的に人を殺すのに対し、
33年コングは殺人を楽しんでいるきらいも見える。

アンに対しても服を引っぺがし、
指で愛撫するなど、
どこか子供っぽい。
アップになった時の笑顔も、
キモい、と表現せざるを得ない。
言うなれば、33年コングは
フィギュアや残虐ゲームが大好きなオタクで、
PJコングは、古いタイプの不良
もしくは体育会系男子といった感じ。

しかし、T.REXとのタイマンの迫力は33年コングも凄い。
PJコングは比較的パンチを基調とした、
打撃型ファイター(印象としては山本KIDに近い)なのに対し、
33年コングは打撃で牽制しながら、
タックルから入り、上からパウンドを落とす、
投げも強いヒョードルタイプだ。


さて、長々と書いてきたが、
つまるところ、33年版はいわばお伽噺だ。
全ての事項は唐突で外連だけで構成されている。
決してそれが悪い訳ではなく、
逆にエンターテインメントとしてダイナミズムを産んでいる。

PJ版はそのお伽噺に意味を付け、
必然を加え、
自分の解釈を乗せている。
最近のリメイクにありがちな
「解体して再構築」ではなく、
オリジナルの上に自分の思いを乗せる
「解体せずにリフォーム」といった所か。
更に敢えて恥ずかしい言葉を使えば
「キングコング補完計画」ということなのだろう。

物の本に因れば、
PJの勝手な付け足しと思われた、
あのゾゾ毛立ちまくりの虫虫大行進も
33年版の幻の未公開シーンとして存在するという。

倒したT.REX(では無いらしいけど)の顎を
ぐらんぐらんさせて死んだかチェックするシーン(名シーン!)や、
左胸を撃たれジーパンばりに血に染まる手を見るシーンなどは、
見事に完コピだった。

PJ版の全ての要素は33年版に既にある。
それを拡大解釈しただけだ。
そしたら3時間超えちゃったのだ。

33年版→100分。
PJ版→188分。
1時間半分をPJの思い入れ(妄想含む)をとくと観ろ!
観ろ!とかっつって、もう殆ど終わっちゃってんだけど!


PJの思い入れをとくと聴け!
ジャケもニューヨークで、タイトルもキングコングにピッタリな、
「STORIES FROM THE CITY,STORIES FROM THE SEA」。

最近買ったんでまだちゃんと聴いてないが、
なんだか初期に較べ明るい。
明るいっつっても他に較べりゃやっぱり暗いんだが。
トム・ヨークも数曲ゲスト参加。



P.J. Harvey
Stories From the City..